2023年1月15日(日)

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聖書一日一章    創世記 8章

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人の心が思い図ることは、幼いときから悪であるからだ。(21節)

神がノアに予告されたように空前絶後の大洪水が起こり、5ヶ月ほど水かさが増し続け、全地が水で覆われ、人も動物も死に絶え、箱船にいたノアの家族と動物たちだけが助かりました。そのうち水が引き始め、箱船は中東の最高峰のひとつ、アララテ山の頂に着き、半年ほどで地面が乾ききり、ノアの家族と動物たちは外に出ました。

さて、ノアは箱船を出たとき、助かったことを神に感謝して、動物をいけにえとしてささげました。21節には、神がそのいけにえの香りをかぎ、心の中で次のように言われたとあります。「わたしは、決して再び人のゆえに、大地にのろいをもたらしはしない。人の心が思い図ることは、幼いときから悪であるからだ。」神は、人間が悪いので大洪水で大地を滅ぼされたのですが、ここで、もう二度と、このように大地を滅ぼさないと約束されました。しかし、その理由として、「人の心が思い図ることは、幼いときから悪であるからだ」と言われるのです。この理由と約束がちぐはぐなのです。ふつうは、人間は悪いことをしたが、幼いときからのうぶな心は純真なので、滅ぼさないと言うところです。それなのに、幼いときからの心は悪いことしか思いつかないので、滅ぼさないと言われるのです。まったく逆さまです。滅ぼしてもその心は変わらないから、放っておこうというあきらめでしょうか。神はそんなすてばちな方ではありません。

私はこの神の理由と約束がちぐはぐであることの中に、福音が隠されていると思いました。「心が良ければ、滅ぼさない、心が悪ければ、滅ぼす」では、何の説明も要りませんが、心の悪い人間には希望がありません。しかし、「心が悪いので、滅ぼさない」では、「心が悪い」と「滅ぼさない」の間をうまくつなぐものが必要です。それが神の憐れみ深い思いです。つまり、心が悪いので、それで滅ぼすと、だれも残らず、あまりにもかわいそうなので、そんな心の悪い人間でも、滅ぼさないで、何とか救おうという神の思いです。それが、後にキリストを遣わされる動機ですし、心の悪い人もキリストを信じるだけで救われるという福音の出所なのです。

テレフォンのお分かち TEL 072-255-0944   鷹取 裕成