2023年2月8日(水)

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聖書一日一章    創世記 32章

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勝ったからだ。(28節)

ヤコブはおじラバンのもとで20年間働いたので、故郷に帰ろうと思いましたが、おじは帰してくれませんでした。そんなとき、パレスチナに帰るようにとの神の声を聞き、家族を連れ、逃げるようにそこを出ました。しかし、パレスチナに帰る限り、自分に殺意を抱いた兄エサウに会わなければなりません。エサウに使いを送ったところ、4百人を従えて迎えに来ると聞き、震え上がってしまいました。そこで、家族としもべたちをグループに分け、グループごとに会って贈り物をしてなだめ、たとえ襲撃されても全滅を免れるようにしました。それでも、勇気が出ず、家族を先に行かせて、ひとり残りました。すると、天使が組みかかって来たので、対抗し、夜明けまで格闘しました。ヤコブは股関節を外されながらも、祝福してくれなければ去らせないと食い下がり、「イスラエル」という名をもらい、祝福を受けました。

さて、「イスラエル」という名は、ヘブル語では「神と戦う」という意味で、天使と格闘したことを指していると思われます。天使はその名を与える理由として、「神と戦い、また人と戦って、勝ったからだ」と言いました。しかし、ヤコブは果たして勝ったのでしょうか。天使は、ヤコブがしつこく抵抗し、勝負がつかないので、関節技を使い、股関節を外しました。股関節を外されたら、立ち上がることはおろか、激痛で動くこともできません。ヤコブの完全な負けです。しかし、ヤコブは、動けなくても、天使の衣をつかみ、どんなに振り払われても放さなかったので、天使は困ってしまいました。そこで、ヤコブが「私はあなたを去らせない。私を祝福してくださらなければ」と言うと、天使は求め通り、祝福したのです。ヤコブは負けたが、意地で勝ったと言えます。キリストは、武力を持たれなかったし、右の頬を打たれたら、左の頬を出すような方ですから、負け犬のように見えます。十字架はその弱さを表しています。しかし、神の力によって復活し、世界を変え、勝利されました。クリスチャンも暴力を使いませんし、右の頬を打たれたら左の頬を出すように教えられているので、負け犬のように見えます。しかし、信仰に立ち、正しいと信じることを、右にも左にもそれず、神に拠り頼んで、ずっと続けていくならば、きっと勝利できるに違いありません。

テレフォンのお分かち TEL 072-255-0944   鷹取 裕成