2023年6月8日(木)

_____________________________________________________________________________

聖書一日一章    民数記 35章

_____________________________________________________________________________

殺人者のいのちのために贖い金を受け取ってはならない。(31節)

イスラエルの民はパレスチナを征服する戦いの準備をしていましたが、ここでは、神が、征服後に48の町をご自身に仕えるレビ部族のために、6つの町を過って人を殺した人が逃れるために指定するように命じておられます。

さて、30節以下で、殺人に対する処罰が定められています。人を殺した者は、2人以上の証人によって慎重に見極めた上で、必ず死刑にしなければならない、贖い金を取って赦してはならないとされています。現在は死刑存廃論争がさかんですが、この時代には、人を殺した者を死刑にすることに疑問を抱く人はいませんでした。すべての人が納得することでした。それは殺人という犯罪の処罰の問題ですが、ここでは、それ以上の問題、神に受け入れられるかどうかの問題として扱われています。神は、殺人者のことを「死ぬべき悪しき者」と言い、殺人者によって「自分たちの住む土地、わたし自身がそのただ中に宿る土地を汚してはならない」と言われます。つまり、殺人者は、神が嫌い、滅びを宣告された呪われた者で、存在するだけでその地が汚れるような者なのです。贖い金を受け取ってはならないというのも、公正さのためではなく、赦されない罪だからです。

しかし、キリストは、マタイの福音書5章21節で殺人についてまったく新しい見方を教えられました。「『人を殺す者はさばきを受けなければならない』とあなたがたは聞いています。しかし、わたしはあなたがたに言います。「兄弟に対して怒る者は、だれでもさばきを受けなければなりません。『愚か者』と言う者は火の燃えるゲヘナに投げ込まれます。」つまり、兄弟であるべきほかの人を憎んだり、蔑んだりする人は、神の前では殺人者と同じだと言われるのです。それなら、私たちはみな、神から滅びを宣告された呪われた者になります。同時にキリストは、マタイの福音書12勝31節で、「人はどんな罪も冒涜も赦していただけます」と言われ、殺人者も赦されることを保証されました。実際、ステパノをはじめ多くのクリスチャンを殺したパウロも赦されました。キリストの尊い血と、キリストを信じる信仰によっては、神から滅びを宣告された呪われた者でも赦されるからです。

テレフォンのお分かち TEL 072-255-0944   鷹取 裕成