聖書一日一章　　　　サムエル記第二 １４章

あなた様には、神の使いの知恵のような知恵があります。(２０節)

イスラエル王国は磐石でしたが、ダビデ王の家庭内では深刻な問題が起こっていました。長男のアムノンが母違いの妹タマルに、暴行をした上に、侮辱的な扱いをして、その心をズタズタにしたので、彼女は引きこもってしまい、同じ母の兄アブサロムはそんな彼女に同情し、アムノンを恨み、宴会に招いて殺害しました。アブサロムは外国に逃げましたが、将軍ヨアブはそのままではよくないと考え、戻って来れるように、ダビデの許しを得るために、知恵のある女にダビデの前で演技させました。彼女は、夫に先立たれ、一人の息子がもう一人の息子を殺したため、残されたたった一人の息子も死刑にされるので、助けてくださいと訴えました。王が恩赦を約束すると、あなた様のお子のアブサロムにも恩赦を与えてくださいと訴えました。ダビデはすぐにヨアブのさしがねだと見抜きましたが、受け入れ、自分の前に出てはならないという条件で許しました。アブサロムはエルサレムに帰りましたが、父に会えないことで、不満を募らせ、やがてダビデに反乱を起こします。

さて、彼女はたしかに知恵のある女で、上手に演技しましたが、ダビデには、ヨアブのさしがねだと見抜かれてしまいました。そのとき彼女は、「あなた様には、神の使いの知恵のような知恵があり、地上のすべてのことをご存知です」と言いました。しかし、ダビデに神のような知恵があるわけでも、すべてのことを知っているわけでもありません。ダビデは普通の人間です。しかし、普通の人間でも、生まれながらの才能と鍛錬によって、偽りやごまかしを見抜くことができるのです。私たちは相手が気づかないと思って、うそをついたり、ごまかしたりしますが、見抜く人が中にいることを心積もりしておかなくてはなりません。それを考えると、偽らないほうがよいでしょう。

普通の人間でもそうですが、神は人間とは比べられない無限の知恵を持っておられ、文字通りすべてを知っておられます。神はすべての偽りとごまかしを見抜かれます。神には通用しません。私たちは神には、良いことも悪いことも、誇れることも恥ずかしいことも、ありのまま告白するしかありません。しかし、幸いなことに、キリストによってすべてを赦してくださるのです。

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