聖書一日一章　　　　列王記第二 ９章

わたしはあなたに油を注ぐ。(６節)

預言者エリシャは、アラムのダマスコという町に行って、ハザエルという人に油を注いでアラムの王に任命し、まもなくハザエルがアラムの王になりましたが、ここでは、イスラエル軍の隊長エフーに油を注いで、イスラエルの王に任命しました。これらは、今はなき預言者エリヤが神から命じられていたことでした。エフーは突然のことで驚きましたが、バアル崇拝を憎んでいたので、それを推進する王を倒すためならと、手勢を率いて、王が静養している町に向かいました。そして、迎えに出て来た王を殺し、その町の館にいた、バアル崇拝の推進者、王母イゼベルを殺しました。王とイゼベルの死に方は、エリヤが預言した通りで、エフーは王の従者だったときに、その預言を直に聞いていたので、驚きました。

さて、エリシャの使者はエフーの頭に油を注いで、「わたしはあなたを主の民イスラエルの王にする」という神の言葉を伝えました。曲がりなりにも創造主なる神を信じるイスラエルの民の王は、神が選ばれた人でなければなりませんでした。この世では、戦いに勝ち残った者が王になって治めます。権力は強い者が戦いに勝って得た特権だからです。しかし、神の民の王は、神に仕えるしもべで、神はしもべとして使いやすい従順な人を選ばれます。ただ、イスラエルにそのようなみ心にかなう王はほとんど出ませんでした。

イスラエルだけでなく、人間の中に、神の民の王となるにふさわしい人物がみつからなかったので、神は、ご自身のひとり子を遣わし、神の民の王とされました。キリストは、その名キリスト、「油注がれた者」という名の通り、神がすべての人のために選び、油を注がれた王です。さらに、人間の王なら、どんなに良い王でも、年老いて死に、その務めを果たせなくなりますが、キリストは永遠に生き、いつまでも、また、どの時代の人々のためにも、その務めを果たされます。私たちの地上の王、あるいは権力者、上司、主人、あらゆる上に立つ人が、神を敬う思いやりのある人であれば幸せですが、なかなか望めないことです。しかし、私たちには、神が備えられた最高の王がおられるので、その王が守ってくださいます。

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