2024年7月17日(水)

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聖書一日一章    詩篇 79篇

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私たちはあなたの民、あなたの牧場の羊です。(13節)

1節に、「国々はあなたのゆずりの地に侵入し、あなたの聖なる宮を汚し、エルサレムを瓦礫の山としました」と言いますが、これはバビロン軍による国土の荒廃とエルサレムの破壊のことでしょう。2節で、「彼らはあなたのしもべたちの屍を空の鳥の餌食とし、彼らの血をエルサレムの周りに水のように注ぎ出しました」と言うように、惨憺たる状況でした。そんな中で、5節で、「いつまでですか。とこしえにあなたはお怒りになるのですか」と言い、9節で、罪の赦しを願います。11節で、「死に定められた」ような人々を「生きながらえさせてください」と祈りますが、その祈りを聞き入れていただける根拠として、13節で、「私たちはあなたの民、あなたの牧場の羊です」と、自分たちは神の民だという信仰を表明します。作者の祈りは、悲惨な目にあったすべてのクリスチャンの祈りでしょう。

さて、気になったのは、バビロンやバビロン傘下の国々に対する作者の気持ちです。6節で、「どうかあなたの激しい憤りを注いでください。あなたを知らない国々に」と言います。また、10節では、「あなたのしもべたちの流された血の復讐が、国々に果たされますように」と言います。その気持ちはわかります。同胞、中でも親しい人々を殺され、その血を地に撒き散らされたのですから、復讐を願うのは当然です。しかし、私たちは違和感を感じます。なぜでしょうか。私たちが優しく善良な人で、復讐など考えないからでしょうか。そんなことはありません。ひどいことをされたら、憎しみや復讐心を抱くのは同じです。やはり、キリストを知っていて、神の恵みを豊かに受けているからでしょう。キリストの十字架の苦しみによって、罪は完全に赦され、神の怒りは完全に消え去りました。キリストを通して神に近づくことができ、神との親しい交わりを与えられています。パウロはローマ人への手紙5章で、私たちはキリストによって「神との平和」を持っているので、「苦難さえも喜んでいる」と言います。使徒の働き7章にあるように、ステパノは自分を憎み、石を投げつけている人々のために、「主よ。この罪を彼らに負わせないでください」と祈りました。キリストを通して与えられる神の恵みは、復讐心も融かしてしまうのです。

テレフォンのお分かち TEL 072-255-0944   鷹取 裕成