2025年7月16日(水)

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聖書一日一章    ハガイ書 2章

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わたしは天と地、海と陸を揺り動かす。(6節)

ハガイは、これまでの預言者よりずっと後、バビロン帝国によるユダ王国の滅亡、捕囚、ペルシャ帝国の勃興、捕囚からの解放、帰還という劇的な歴史を経た後の時代の預言者です。帰還した人々はすぐに神殿の再建に取りかかりましたが、礎を据えたところで、その地に住む異民族の抵抗により、中断し、そのままでした。そんなとき、ハガイは神から言葉を受け、イスラエル人の指導者たちに神殿の再建を優先するように呼びかけました。ここでは、神が、再建される神殿に前の神殿にまさる栄光を与えること、自分の仕事を優先しても、成果がないこと、それゆえ再建を優先するように語られます。

それでは、再建される神殿の前の神殿にまさる栄光とは何でしょうか。やはり、救い主キリストの活動の舞台となり、世界中に知られることでしょう。だとすると、神が6節で、「もう一度、わたしは天と地、海と陸を揺り動かす」と言われるのは、何のことでしょうか。私は、キリストが世界中に宣べ伝えられることは、ローマがヨーロッパ、北アフリカ、中東を支配し、広範な平和を実現していたことなしには考えられませんが、神がローマという強い国を起こし、国際秩序を根底から揺り動かされたことだと思います。

社会の秩序というのは一度できあがると、岩のように堅く、変えようとしても変わらないものですが、激動の時代には変わってきました。アメリカの奴隷制も、一部の良心的な人々は廃止のために努力していましたが、変わりませんでした。それが南北戦争が起こり、すべての国民が死ぬか生きるかの戦いをする中で、北軍が奴隷に兵士として戦ってもらうために奴隷解放宣言を出し、北軍が勝ち、全米で一気に奴隷制度が廃止されました。日本では、太平洋戦争と敗戦という激動によって、男女平等、農地改革、家制度の廃止、福祉制度などが一気に実現しました。キリストの宣教も、どの国も伝統的な宗教やその宗教に基づく社会秩序があり、なかなか受け入れられませんが、社会の激動の時代に、せきを切ったように受け入れられてきました。私たちも、キリストがなかなか受け入れられないことを痛感しますが、いつか神が社会の秩序を根底から揺り動かされる時が来ることでしょう。

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