2025年11月12日(水)
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聖書一日一章 使徒の働き 12章
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虫に食われて、息絶えた。(23節)
この章は、ヘロデ王にまつわる出来事を記しています。「ヘロデ王」と言っても、キリストがお生まれになった時のヘロデ大王からするとその孫、福音書に登場するヘロデ王からするとその甥のヘロデ・アグリッパ1世のことです。この王は残忍な人で、まず使徒ヤコブを殺し、それがユダヤ人の宗教指導者たちに好評だったので、今度はペテロを捕らえ、公開処刑をしようとしました。しかし、その前夜、み使いが牢に監禁されていた彼を起こし、鎖を解き、番兵の目をくらまし、外に連れ出しました。他方、ヘロデは、ツロとシドンの人々を迎えて演説している途中で倒れて死にました。
さて、人々がヘロデをたたえたとき、「即座に主の使いがヘロデを打った。彼は虫に食われて息絶えた」と記しています。この出来事は当時のユダヤ人の歴史家ヨセフスが「ユダヤ古代誌」に詳細に記しています。ヘロデはうまく立ち回って、ローマ皇帝から任される領地を増し加え、ユダヤ全土を統治するようになっていて、、絶頂にありました。ヘロデは「銀の糸だけで織られたすばらしい衣装をつけて、暁の野外劇場へ入場した。太陽の光が銀の糸に映えてまぶしく照り輝くその光景は、彼を見つめる人たちに畏敬の念を与えずにはおかなかった」そうです。実に栄光の時でした。人々は、「ああ神なるお方よ」と叫び、「たとえこれまでは陛下を人間として恐れてきたとしても、これからは不死のお方と認めます」と言ったそうです。しかし、その瞬間、ヘロデは心臓に刺すような痛みを覚え、激しい痛みが全身に広がりました。宮殿に運び込まれ、5日間苦しみ、消耗し切って息絶えました。現在の医学では、サナダムシの幼虫による嚢虫症と診断されています。
それにしても、人間の栄光とはなんとむなしいものでしょうか。ヘロデはその栄光の絶頂の時に、虫のせいで倒れ、人々に激痛に苦しむ情けない姿をさらして死にました。人々が「神だ」とたたえたその人が、虫の攻撃に何もできませんでした。人々が「不死のお方」とたたえたその人が、死の力に抵抗できませんでした。人間を神とたたえるのは愚かです。ほんとうに尊く、無敵で、不死なる神だけをたたえましょう。
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