2025年12月11日(木)

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聖書一日一章    ローマ人への手紙 13章

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人はみな、上に立つ権威に従うべきです。(1節)

パウロはここでは、「上に立つ権威」つまり国家権力に対する姿勢として、従順で、納税などの義務を果たすように勧めます。

さて、1節では、「人はみな、上に立つ権威に従うべきです」と言います。私たちは、権威という言葉から独裁国家を連想し、恐ろしいと思います。無茶なことが命じられたり、少し批判しただけで逮捕されたり、独裁者の崇拝を強いられたりといったことをよく耳にします。その点、私たちの国は民主主義で、自由や人権が保証され、権威を意識しないで生活できることはほんとうに幸いです。とはいえ、権威がないわけではありません。法律があり、この国に住む人はだれでも従わなければなりません。好むと好まざるとにかかわらず従わなければならないのは、相当強い権威です。

パウロの時代には、ヨーロッパ、北アフリカ、中東をローマ帝国が支配し、皇帝が独裁的に治めていて、その皇帝が異教徒ですから、その政治は神のみ心から遠く離れていたでしょう。それでもパウロは、「上に立つ権威に従うべきです」と言うのです。その理由として、4節で、神がご自身を信じる人々に益を与えるために立てられた人だと言います。神は私たちに益を与えるために、いろいろな人を用いられます。その人自身は不信者でも、そのつもりでなくても、ご自身の見えないみ手によってその人を動かされるのです。

パウロの時代のローマ帝国は、反乱などは激しく取り締まりましたが、宗教には無関心で、キリストへの信仰を禁止するようなことはありませんでした。しかし、3世紀のディオクレティアヌス帝は、皇帝とローマの神々を崇拝することを義務づけ、クリスチャンたちに改宗を命じました。いくら「上に立つ権威」と言っても、このような命令には従うことはできません。数千人のクリスチャンが従わず、処刑されたと言われます。しかし、それは当時のクリスチャンたちのほんの一部で、ほかの人々は隠れクリスチャンになったと思われます。私は隠れクリスチャンも主に従う一つの道だと思います。

テレフォンのお分かち TEL 072-255-0944   鷹取 裕成